*Zephyrs*

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決して逢えない二人 ――それは叶わぬ恋だった。

(※)ネタバレ注意!!

東京少女


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決して逢えない二人。ケータイの向こうは100年前のあなた…。

平成と明治。時空を超えて繋がったケータイ電話が恋のはじまりだった…。
母親の再婚話に心を痛める、女子高生の未歩(夏帆)。
小説家を夢みながら、自分の成すべき事を模索する青年、時次郎(佐野和真)。

時代も環境も違うふたりが、月が出ている時にだけ繋がるケータイ電話で会話を交わし、
ほのかな恋心を寄せ合っていく。

交錯するふたりの想いと、抗うことの出来ない運命。

決して逢うことが出来ない二人が100年の時を越えたドラマを紡ぎ出していく…。



別々の時代を生きる男女が、ひとつのケータイ電話を通じて出逢う。
お互いの姿は見えなくても、伝わりあう「声」と「想い」、
そして抗うことが出来ない「時間」の壁…。

100年の時を越えて、いつまでも心に残り続ける珠玉のラブ・ファンタジー―――。

素晴らしい映画です。
ケータイ電話を通じて惹かれあう。

きみにしか聞こえない』を思わせる部分もありますが、
最後にふたりが「逢う」、『きみにしか聞こえない』に比べ、
この作品の場合は、「時間の壁」で逢うことができない。

ケータイ電話であるがために、「電池切れ」という壁にふたりは阻まれる。

映画視聴前にノベライズを読んだのですが、
ノベライズには「ゆかり」という未歩の親友が登場します。

物語の進行役に重要なキャラクターとなっていて、
映画では登場しない。とのことで、少々不安な部分もありましたが、

映画。
進行もスムーズで、流れ、バランス共に高クオリティでまとまっていました。

唯一、ノベライズの方が良かったと思うのが、
「時次郎のケータイが未歩のもとに戻ってくる」という点。

最後は、やっぱり戻ってきたほうが良いような気がしました。


さてさて。
現代と明治での電話の会話。

神秘的な画面効果で描かれる二人の会話シーン。

“月”が電話の繋がる条件とされているので、背景の月も違和感無く収まる。

画面効果も面白い映画でした。

デートシーンも、
違う時代にいても、同じ時間に同じ場所を歩く。
松本楼での食事も一緒。


そして、
未歩が時次郎からのプレゼントを貰うシーン。

100年の時を超え贈られたプレゼント。
おばあちゃんとの電話。
女の子との約束。

製作サイドが狙った、
「自然に泣ける映画」を納得する、最高のシーン。
この映画の一番の見所ではないでしょうか。。。



「泣かせる」ではなく「泣ける」映画を。。。
本当に、その通りの映画でした。


脚本の林誠人さんは、
「最後まで二人を会わせないかどうかという点は悩みましたね。
 時次郎の写真が残っていて、未歩がその姿を見るとか・・・。」

と語っています。
その通りですね。

最後。
時次郎の残していった原稿が登場するわけですが。

そこに、時次郎の写真が一緒になっている。。。
っていうのも、面白いと思うんですよね。

アト、
ケータイ。
未歩が時次郎のお墓参りをしたときに、ふっと浮いてくる。。。
そして、未歩のもとに戻ってくる。。。
というのも、面白いと思いますし。

併せて、
「ケータイが浮いてきて、未歩がそれを拾う。
“充電”し、100年の時を越えての再起動。
ケータイ写真に、時次郎の写真がある。。。」

ケータイ電話のカメラを活用する。。。という手法ですが・・・
なんて感じも面白いのかな。と思いました。


しかし。
ラストまで、「逢えない」二人だからこそ、
この物語は切なく完結できるのだと思います。



『東京少女』
単館上映であるのが、すごく残念に感じる映画です。
映画史に残る名作とも思えました。